FTM向けテストステロン注射の知識
目次
・デポー剤とはなんですか?
・テストステロン注射は保険適応で受けれますか?
・テストステロン注射の値段は?
・打つ間隔はどのくらいがベストですか?
・注射にはどんな種類がありますか?
・何科で受けれますか?
デポー剤とはなんですか?
男性化で使われる一般的なホルモン注射です。
作用が長期間持続する注射剤の俗称でもあります。
もともとテストステロンは代謝が早く、
投与してもあっという間に分解されてしまいます。
なのでデポ化して効果時間を延ばしています。
デポ化したものには
エナント酸テストステロン、
シビオン酸テストステロン、
プロピオン酸テストステロンなどがあります。
日本で主に使用されるのは
エナント酸テストステロンで、
エナルモンデポー
と呼ばれています。
テストステロン注射は保険適応で受けれますか?
性同一性障害の診断書があれば保険適応で受けれます。
なければ自由診療になるので保険適応外です。
※保険適応とは・・・健康保険を使用して受けれる治療のことをいいます。自己負担額が3割で済みます。
※自由診療とは・・・病気や健康上の理由以外で行われる施術のことです(例えば美容整形など)。健康保険が使えず全額自己負担になります。性同一性障害の診断書がある場合は治療目的になるので保険適応で受けれます。
テストステロン注射の値段は?
病院によって価格が違います。
自由診療で3000円前後が相場です。
本来医療費というのは国によって定められているので、
どこの病院で受けても費用は一緒です。
ですが自由診療は病院側が自由に価格設定できます。
そのため値段にバラつきがあります。
あらかじめホームページ等で確認するのがいいです。
高い=良い物を使っているわけではないので注意しましょう。
打つ間隔はどのくらいがベストですか?
一般的には
125mg・・・2〜3週間に1度
250mg・・・3〜4週間に1度
です。
詳しくは服用量の求め方をご覧ください。
注射にはどんな種類がありますか?
FTMに一般に使用される注射は以下の4種類です。
・エナルモンデポー
・テスチノンデポー
・テストビロンデポー
・テストロンデポー
ただし上記の4つは販売名が違うだけで成分は同じです。
いずれもテストステロンエナント酸エステルという成分で効果は全く同じです。
1アンプル(1本)125mgと250mgがあります。
125mg/1A、250mg/1Aというふうに表記されます。
その他のテストステロン剤
・テストステロンシピオナート(テストステロンサイピオネート)
・テストステロンエステル
・ネビド
何科で受けれますか?
泌尿器科、美容整形外科、内科で受けれます。
性同一性障害の治療を行っている病院は少ないですが、
もし家の近くにあるのならそこで受けるのがベストです。
副作用はありますか?
FTMにおける一般的な副作用については、
男性ホルモン投与の副作用をご覧ください。
よくみられる副作用に、
頭痛や多血症があります。
主な原因として、
投与量が多すぎる、
もしくは血中濃度の変動幅が大きい
ことがあげられます。
注射の場合、
投与量が多いほど効果時間が伸びます。
しかし一度に打つ量が多くなるほど血中濃度の変動幅も大きくなります。
すると上記の副作用がでやすくなります。
対策として、
・125mgの注射を選択する
・ネビドを打つ
があります。
ネビドとは3ヶ月〜6ヶ月に一度打つだけで良い超長期効果型の注射です。
間隔は3〜6ヶ月に一度と長いですが、
血中濃度はむしろ安定するのが特徴です。
ヘモグロビン、ヘマトクリットがあまり上昇しないため、
多血症のリスクは低く安全です。
年齢制限はありますか?
病院でホルモン投与を受けるには、
条件として18歳以上であることと、
性同一性障害の診断書が必要です。
診断書は精神科に通い、
二人以上の医師に性同一性障害と認められることで発行できます。
【20歳未満の場合】
親の同意が必要となります。
2年以上の通院と医師の許可が下りた場合に限り15歳からでも可能になります。
注射のメリットデメリットはありますか?
テストステロンの補充には経口、経皮、注射の3つの摂取法があります。
経口、経皮と比べたメリットデメリットとしては、
【メリット】
・効果が高い
・効果時間が長い
・肝臓への負担が小さい
【デメリット】
・性同一性障害の診断書が必要
・病院に通わなければいけない
・血中濃度の変動幅が大きい(投与間隔で改善可能)
経口の詳細に関しては経口に関する知識
経皮の詳細は経皮に関する知識
をご覧ください。
関連ページ
→次のページ 経皮タイプのテストステロン剤の解説