女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があります。
この2種類の女性ホルモンにはそれぞれ以下の作用があります。
卵胞ホルモン・・・体を女性らしく成長させるホルモン。女性化作用がある。
黄体ホルモン・・・生理や妊娠に係わるホルモン。男性ホルモンを抑制する作用がある。
そして男性が女性化するには2つの条件を満たす必要があります。
1 女性ホルモン値を上げること
2 男性ホルモン値を下げること
卵胞ホルモンには1の効果があり、黄体ホルモンには2の効果があります。
卵胞ホルモンにも男性ホルモンを下げる作用はありますが、女性並みに下げるほどの強さはありません。
女性ホルモンを投与しても男性ホルモンが高いとその働きを阻害してしまうので、卵胞ホルモンのみで女性化は難しいのです。
一方黄体ホルモンは直接的な女性化効果はありませんが、卵胞ホルモンの働きを助ける作用と男性ホルモンを強力に抑える作用があります。
なので女性化を望む場合、
卵胞ホルモンと黄体ホルモンをホルモン剤で摂取する必要があります。
毎日摂取し続けることで徐々に胸やお尻が大きくなるなどの本格的な女性化が起こります。
ただし元々男性ホルモンレベルが低い方(男性の基準の範囲内で低値)や、強力な卵胞ホルモン剤を使用している方は、黄体ホルモン剤を使用せずとも卵胞ホルモンのみで女性化できるケースもあります。
男性への黄体ホルモンの作用
・中性化
男性ホルモンが減少することで男性的な特徴が薄れていきます。
・手足が細くなる(筋肉量減少)
黄体ホルモンにはタンパク異化作用というのがあります。
タンパク質を分解しエネルギーなどへの変換を増加させます。
筋肉はたんぱく質で構成されているのでようするに筋肉が落ちやすくなります。
それにより手足が細くなり女性的なきゃしゃな体になります。
トレーニング次第ではある程度の維持は可能ですが、どちらにせよ体力はかなり低下します。
・ニキビやはげの改善
男性ホルモン抑制により皮脂の分泌が減り角質も減るためニキビの改善と予防効果があります。
また、男性ホルモンが原因の脱毛症は改善に繋がります。
育毛効果と発毛効果が得られます。
・体臭の変化
男性ホルモン低下により皮脂が減り体臭や加齢臭は軽減されます。
匂いの質も女性のような甘いにおいに変化します。
・体毛が薄くなる
髪に育毛効果があるのに対して髪以外の体毛は逆に薄くなっていきます。
・乳房の発達(バストアップ)
※これは男性ホルモンを女性の基準値レベルまで低下させなければ起こりません。
胸は最も男性ホルモンの影響を受ける部位だからです。
男性ホルモンの減少と黄体ホルモン作用により胸が大きくなります。
妊娠した女性は赤ちゃんへの搾乳のために胸が大きくなりますがこれは黄体ホルモンの作用であり、男性でも同様の効果が得られます。
卵胞ホルモンである程度胸が発達したならば、黄体ホルモンはそれをさらに発達させるように働きます。
発達の程度は女性と同じく個人差が大きくでます。
胸は脂肪なので、一般的に痩せ型の方ほど大きくなりにくい傾向があります。
胸(乳腺)の痛みや圧迫感を感じる場合は胸が大きくなる前兆です。
・体型の女性化
黄体ホルモンは女性らしい脂肪のつき方を促進させるので女性体型になります。
腰、お尻、太ももに脂肪がつき大きくなります。
体や顔の輪郭も骨ばったゴツゴツした感じから丸みのあるやわらかい輪郭に変わります。
卵胞ホルモンにも同様の作用がありますがさらに促進させてくれます。
・体温上昇作用
男性より女性のほうが少し体温が高いのをご存知でしょうか?
女性は排卵時に基礎体温が上がりますがこれも黄体ホルモンの作用です。
しかし体温が上昇するといってもせいぜい0.5℃程度ですし、敏感な人でなければ感じ取れないでしょう。
・麻酔作用
非常に弱いですが麻酔作用があります。
この作用のため、眠気を感じる方もいるでしょう。
車の運転や高所の作業では注意が必要です。
・抗アルドステロン作用
アルドステロンとは副腎皮質ホルモンの一つで、ナトリウムの再吸収を促し体内の水分量を増やす働きがあります。
黄体ホルモンはこの働きを阻害します。
そして体がそれに反応してアルドステロンの分泌を促すので、結果的に体に水分が溜まりやすくなります。
つまり女性のようにむくみやすくなります。
水分が増えると体液量、血液量が増えるので高血圧になる可能性があります。
また、水分が増えた分体重が増加します。
・精神作用
倦怠感や疲労感をおこりやすくします。
うつ病になる確率があがることもわかっています。
生理中の女性と似たような精神状態になると思っていただければよいです。
・食欲増進作用
黄体ホルモンは妊娠に関係する女性ホルモンです。
出産のために本能的に脂肪を蓄えようとするので食欲が増します。
・性欲低下
男性ホルモンによる本能的な性欲は低下します。
リビドー(性感)は女性的になります。
・性的機能不全
黄体ホルモンを長期間、大量に服用し続けると、性欲がどんどん減っていき最終的には勃起不全になる可能性があります。
服用をやめれば回復する場合もあれば完全に回復しない場合もあります。
・生殖能力低下と精子形成障害
長期服用で起こる可能性があります。
生殖能力低下・・・精子を生産する機能が損なわれる可能性があります。
精子形成障害・・・精子自体に影響がでる可能性があります。(受精能力の欠如など)
どちらも子供が作れなくなるリスクに至ります。
これらは服用をやめれば回復することもあれば完全に回復しない場合もあります。
精液検査を行えば調べることはできます。
・血栓症
血液を固まらせるための血中物質を増加させます。
これにより血栓症のリスクが増加します。
血栓症とは血の固まりが血管を詰まらせてしまう病気です。
代表的なものにエコノミークラス症候群や脳梗塞、心筋梗塞などがあります。
現在は血栓症予防に効果のあるクリルビタミンを一緒に服用することが推奨されています。
→クリルビタミン
女性化しない場合の原因
男性ホルモンが女性の基準値まで低下しなければ胸が大きくなるなどの本格的な女性化は起こりません。
MTFにおいては75ng/dl以下になることが望ましく、35〜60ng/dlが医学的に理想といわれています。
男性ホルモン(総テストステロン値)
男性の基準値 277〜1111 ng/dl
女性の基準値 16〜86 ng/dl
数値が高ければ黄体ホルモン剤の服用量を増やす必要があるかもしれません。
男性ホルモンが低下しない限りいくら卵胞ホルモンの量を増やしても女性化は中々始まりません。
ただし女性化とはホルモン剤を長期間服用し続けることで徐々に起こるもので、すぐに変化が感じられるものではありません。
胸や体つきは半年〜数年かけて徐々に変化していきます。
なので効果が感じられないからといって服用量を無闇に増やしてはいけません。
男性ホルモン値は病院で血液検査をお願いすれば知ることができます。
総テストステロン値という項目が男性ホルモン値なのでこれを調べてもらいましょう。
黄体ホルモンのみで中性化は可能か
女性化ではなく中性化を望む方もいます。
確かに黄体ホルモンのみを服用し続けると中性化が起こります。
黄体ホルモンには直接的な女性化作用はなく男性ホルモンの抑制効果がメインです。
男性ホルモンは体を男性的に成長させてくれる性ホルモンです。
抑制されると男性的な成長が止まり、その特徴も薄れていきます。
よって卵胞ホルモンを服用せず黄体ホルモンのみをとり続ければ中性化が起こります。
しかしこれには問題があります。
なぜなら性ホルモンは体調を維持する上で必要不可欠なものだからです。
人は性別にかかわらず女性ホルモンか男性ホルモンのどちらかが十分になければいけません。
MTFの場合卵胞ホルモンを一緒に服用しているので何も問題はありません。
しかし中性化の場合男性ホルモンと女性ホルモンの両方が不足してしまいます。
この場合、
・更年期障害
・骨粗しょう症
といった症状が現れてきます。
更年期障害は
だるさ、頭痛、多汗、冷え性、吐き気、めまいなどの体調不良です。
その名の通り女性ホルモンが低下した更年期の女性におこる症状ですが、ホルモン不足になれば男性でも発症します。
骨粗しょう症は骨密度が著しく低下し骨折しやすくなる病気です。
男性ホルモンが女性の基準値レベルまで低下しない限りこのような問題は起こりませんが、基本的には黄体ホルモンの単独服用はいけません。
代表的な黄体ホルモン剤
マレフェmtf
成分はメドロキシプロゲステロン酢酸エステルです。
プロベラのジェネリックです。
天然の黄体ホルモンの20〜50倍の男性ホルモン抑制効果があります。
女性化における1日あたりの服用量は2.5〜10mg(1錠10mg)です。
1日2回にわけて服用することで常に効果が発揮され、少しずつ男性ホルモンが抑制されていきます。
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