テストステロン療法による変化や効果の一覧
【】内は変化が起こるまでの平均期間で、あくまで目安です。
年齢、遺伝、投与方法、あなたの体が男性ホルモンにどのくらい敏感かなど様々な要因によって変わります。
1 女性ホルモンの分泌低下【1ヶ月〜】
2 性欲増加【1ヶ月〜】
3 陰核肥大【3ヶ月〜】
4 体毛の発達【3ヶ月〜】
5 皮脂の分泌増加【1ヶ月〜】
6 肌の男性化【1ヶ月〜】
7 筋肉量増加【3ヶ月〜】
8 体脂肪の男性パターンへの再分配【3ヶ月〜】
9 皮下脂肪の減少【3ヶ月〜】
10 赤血球増加【1ヶ月〜】
11 発汗量増加【3ヶ月〜】
12 生理(月経)の停止【3ヶ月〜】
13 声の低音化【1ヶ月〜】
14 ヒゲの発達【3ヶ月〜】
15 力の増加
女性ホルモンの分泌低下【1ヶ月〜】
テストステロンにより、
性腺刺激ホルモンの分泌が抑制され卵巣の機能が低下します。
女性ホルモンの大半は卵巣より分泌されるので、
機能低下により分泌量が減少します。
性欲増加【1ヶ月〜】
テストステロンには性欲を亢進させる作用があります。
陰核肥大【3ヶ月〜】
クリトリスとペニスはもともと同じ部位です。
性ホルモンによって別々の発達をしたものです。
なのでテストステロンによって、
男性のペニスのように大きくなってきます。
ただし男性と同じとまではいかず、
親指ほどのサイズになるのが一般的です。(1〜3cm)
それ以上を求める場合は手術が必要です。
人によってはパンツにあたって痛いとか、
正面に突き出てくることもあります。
体毛の発達【3ヶ月〜】
思春期男性と同じように発毛してきます。
腕、脇、足、胸、背中、腹といった、
全身の体毛が太く長く成長してきます。
髪も男性のように太くごわごわした質感になります。
皮脂の分泌増加【1ヶ月〜】
男性と同じくらい皮脂が増えます。
肌の男性化【1ヶ月〜】
皮脂腺が活発になるため肌のきめが粗くなり、
毛穴が目立つようになります。
皮膚が厚くなり肌自体は以前よりも強くなります。
(男性は女性よりも皮膚が厚いです)
筋肉量増加【3ヶ月〜】
上半身ががっしりしてきます。
とはいえ勝手に筋肉がつくわけではなく、
筋肉のつきやすさが非トランス男性と同じになると思って下さい。
筋肉をつけたい人はFTMでも非トランス男性でも、
日々たゆまぬトレーニングをしています。
体脂肪の男性パターンへの再分配【3ヶ月〜】
女性は腰やお尻や太ももに脂肪がつきやすいのに対し、
男性はお腹や内臓に脂肪がつきやすいという違いがあります。
そのため腰、お尻、太ももの脂肪が落ち、
それらがお腹や内臓に徐々に移行していきます。
これにより見た目が男性的な体型になります。
女性は下半身が大きい三角形体型ですが、
上半身が大きい逆三角形体型になります。
皮下脂肪の減少【3ヶ月〜】
女性は皮膚が薄く、
皮下脂肪が多いという特徴があります。
男性は逆に皮膚が厚く皮下脂肪が少ないです。
この違いもホルモンによるものなので、
男性的に変化していきます。
見た目の印象も変化します。
女性は皮下脂肪が多いため全体的に丸みがあり柔らかいですが、
男性のような骨ばったごつごつした印象になっていきます。
赤血球増加【1ヶ月〜】
男性の平均値の範囲まで増加します。
(男性は女性よりも赤血球の平均値が高いです。)
赤血球は酸素を運ぶ役割があるので、
運動能力(主に持久力)の向上につながります。
発汗量増加【3ヶ月〜】
代謝が活発になることで、
男性のように汗をかきやすくなります。
筋肉量の増加に伴い基礎代謝も亢進するので、
暑がりになるかもしれません。
生理(月経)の停止【3ヶ月〜】
テストステロンにより性腺刺激ホルモンの分泌が抑制され、
卵巣の機能低下と子宮内膜の萎縮を引き起こします。
これにより月経が停止します。
テストステロンの投与を中断しない限り停止は続きます。
ただしホルモンバランスの調整がうまくいかなかったり、
女性ホルモンが抑えられていない場合、
逆に子宮内膜が厚くなっていくことがあります。
子宮内膜とは通常、月経中に排出されます。
しかしテストステロンにより月経は停止されるため蓄積されていきます。
これを子宮内膜過形成といいます。
最終的には微量出血という形で排出され始める可能性があります。
これらはテストステロン開始の最初の数年間に、
最もおこりやすく決して珍しいことではありません。
しかし不正出血はがんなどの兆候の可能性もあるので注意が必要です。
※妊娠について
テストステロン投与中は妊娠能力を大幅に低下させますが、
妊娠する可能性がゼロになるわけではありません。
性行為の避妊対策はしましょう。
妊娠中の方はホルモン剤の投与はもちろん厳禁です。
声の低音化【1ヶ月〜】
思春期男性と同じように声変わりが起こります。
声の変化は数週間以内に始まり、
完了するのに1年前後かかります。
実は女性にも喉仏はあります。
ただ男性ほど発達していないので見た目ではわからないだけです。
これが徐々に発達して出っ張ってきます。
どれほど出てくるかは個人差によります。
声の変化量も個人差があります。
基本的にはホルモン開始後12か月で男性とほぼ同じ周波数になります。
(女性の平均は200〜225Hz、男性の平均は100〜130Hz)
落ち着くまでは声が出しにくいなどあります。
FTMの24%の方はボイスセラピーを受けています。
理由は声の疲労、声が不安定、声の質、ピッチが不十分、声が出しにくいなど。
年配の方より若い方にこの傾向が見られます。
ヒゲの発達【3ヶ月〜】
ヒゲの生えてくる場所や濃さ、かかる時間は、
非トランス男性と同じく、
遺伝によって一人一人違います。
生えてくる場所の順番は誰しも同様で、
最初は唇の上部から生え始め次にアゴ、
次に頬といったプロセスを経ていきます。
体毛やヒゲは変化が現れるのに最も時間がかかる部分です。
中学、高校生で立派なヒゲが生えている男子はそうそう見ないと思います。
彼らは剃っているわけではありません。
産毛は生え始めていますが、
見た目には分かりません。
ヒゲの発達は思春期から始まりますが、
産毛が太く長く成長するにはそこからさらに〜5年ほどかかります。
中には20代後半になって濃くなり始める方もいます。
FTMの方でも同じくらいの時間がかかると思ってください。
ヒゲや体毛は一度発達さえすれば剃ってもすぐに生えてくるようになります。
力の増加
筋肉の発達により力がつきます。
体重増加
筋肉は脂肪よりも重いため、
体重は増える傾向にあります。
食欲増加
筋肉がつき代謝能力が上がると、
カロリーを燃焼する力がアップします。
その分エネルギーが必要になり、
食欲も増すかもしれません。
不可逆的変化について
以下の変化は永久的であり、
テストステロン投与をやめても二度と元には戻りません。
・低音化した声や発達した喉仏
・はげ(投与をやめれば進行は止まります。)
・発達した陰核(クリトリス)
・体毛やひげ(剃っても生え続けます。)
元に戻る変化について
以下は投与をやめれば徐々にまた元に戻ります。
・性欲
・発汗量
・皮脂量
・体臭
・赤血球やコレステロール
・排卵と月経停止(卵巣がまだ機能している場合)
・脂肪のつき方
・筋肉
・皮膚
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